令和5年度 門司メディカルセンター 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - - 16 19 61 145 339 927 935 386
 当院は、急性期の総合的医療を実施しつつ、包括的な医療福祉も実施するハイブリッド型の医療を提供しています。
門司地区は北九州市の中でも高齢化が進んでいますが、地域性もあって、全体で見ると60歳以上の患者さんの頻度が多く、
全体の90%を占めています。
 10代、20代は骨折等の外傷や腸炎が多く、30代では急性虫垂炎や糖尿病等の疾患もあります。
 40代になるとこれに尿管結石や心疾患が、50代になると悪性腫瘍や脳卒中といった疾患が加わります。
 60代では悪性腫瘍が占める割合が多くなり、70代は加えて白内障や狭心症に不整脈、肺炎も増えてきます。
 80代以上の高齢になると肺炎や心不全と並び、骨粗鬆症に伴う大腿骨近位部骨折が多くなっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-手術なし-インスリンあり 28 23.00 13.99 3.57% 75.25
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-手術なし-インスリンなし 23 13.70 10.66 0.00% 69.96
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。)-手術なし-処置なし- 副病なし 11 29.18 8.60 9.09% 86.27
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置なし 10 31.50 20.60 20.00% 86.00
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡-手術なし- 処置なし-副病なし 10 14.30 13.15 0.00% 63.50
 当院内科で一番多いのは、糖尿病の患者さんです。インスリン注射等の治療内容で2つに分かれております。
糖尿病の入院では、食事や生活習慣を見直し、血糖値を改善する為の入院や、他の病気で手術を行う前などに
血糖値のコントロール等も行っています。
 糖尿病の患者さんがインスリン不足状態になると、糖を分解できず、代わりに脂肪が分解されます。
脂肪が分解される過程でケトン体が生じ、体内の血液が酸性に傾きます。この状態をケトアシドーシスといい、
早急な治療が必要です。当院の内科には糖尿病の専門医がおり、適切な治療が受けられます。

 当院の患者さんはご高齢の方が多く、基礎疾患の影響により免疫が低下し、細菌感染症を引き起こすことがあります。
必要に応じて他科と連携し、基礎疾患への対応も含めて治療を行っております。

 食事のときにむせたり、眠っている間に唾液が気管に流れ込こんだりすると、口の中にいた菌が肺で増殖し、
誤嚥性肺炎を引き起こします。嚥下機能の低下が原因となるので、肺炎の治療と、嚥下機能改善のためのリハビリも行います。
循環器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全-手術なし-処置なし-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 73 25.78 17.38 6.85% 85.34
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-心臓カテーテル検査・血管内超音波検査あり-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 44 3.00 3.25 0.00% 78.11
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-心臓カテーテル検査あり-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 38 3.63 3.05 0.00% 74.34
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈-経皮的カテーテル心筋焼灼術 38 6.68 4.57 0.00% 72.32
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-経皮的冠動脈形成術等 37 6.51 4.26 5.41% 75.65
 心不全の患者さんは、急性期の治療を行った後は、虚血性心疾患や不整脈などの原因の検索、治療を行います。

 虚血性心疾患には狭心症、無症候性心筋虚血、心筋梗塞等があります。虚血性心疾患の入院の場合、
心臓カテーテル検査を行い、必要性に応じて冠動脈ステント留置術等の血行再建術を行います。
昨年度は、他疾患での入院時に虚血性心疾患が疑われた入院等も含めて、検査を行った入院が105件、
血行再建術を行った入院が46件となっております。

 頻脈性不整脈は、通常規則正しく動いている心臓の心拍数やリズムに異常が起きて、頻回に拍動している状態です。
カテーテルを使って不整脈の発生場所や、発生した不整脈を伝えている伝導回路を焼灼(カテーテルアブレーション)します。
昨年は38件のカテーテルアブレーションを実施しました。

 循環器疾患の患者さんの入院においては、基礎疾患の治療、再発の予防のため、
入院中、外来を通じて心臓リハビリテーションを行います。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060040xx99x8xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍-手術なし- 抗癌剤投与(血管新生阻害剤)あり-副病なし 25 3.48 4.20 0.00% 70.64
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 23 2.44 2.61 0.00% 76.57
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 20 8.35 4.55 0.00% 75.85
060040xx99x70x 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍-手術なし-抗癌剤投与(シグナル阻害剤)あり-副病なし 19 4.00 4.38 0.00% 70.05
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等-人工肛門造設なし-副病なし 18 22.56 15.12 0.00% 76.56
 1、4、5番目に大腸の悪性腫瘍が挙がっております。当科では、外科手術治療以外に化学療法にも力を入れています。
近年、化学療法を外来で行うことが多くなってきましたが、入院を希望される患者さんも居られ、入退院を繰り返しているため、
DPC細分では大腸癌に対する化学療法目的の入院症例数が多くなっています。
大腸癌の患者様が多くなっておりますが、当科では他に乳癌や胃癌等の悪性腫瘍の診療も行っております。

 大腸検査で発見される大腸腺腫やポリープは多く、ポリープ切除後に入院していただき、1~2日経過観察をしています。

 鼠径ヘルニアは、痛みなどの症状があると手術の対象となります。当科では負担の少ない、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術を行っております。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)-手術なし-処置なし 51 40.06 19.34 7.84% 82.10
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等 43 61.81 25.50 18.60% 86.77
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 37 48.84 19.55 0.00% 72.97
160980xx99x0xx 骨盤損傷-手術なし 22 43.68 19.27 13.64% 78.27
070343xx99x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎-手術なし 15 24.93 13.92 6.67% 83.60
 整形外科入院患者さんの疾患・外傷で1番多くを占めているのは、胸椎・腰椎の椎体骨折です。骨粗鬆症などで骨が弱くなることが
原因としてあげられます。治療法は、コルセットで固定して安静を保ち、骨の変形を防いで骨癒合を待ちます。
痛みが引いてきたらリハビリも行います。

 2番目に多い傷病は大腿骨近位部骨折です。骨粗鬆症になると、この骨折が起きやすくなります。
寝たきりにならないために、早期に手術による治療を行います。

 3番目は変形性股関節症、大腿骨頭壊死など股関節の変性疾患で、人工関節置換術を行った入院です。
関節軟骨や軟骨下骨などの変性・変形が進み、鎮痛薬等を使っても痛みが取れない場合に手術を行います。
手術後は十分なリハビリ、機能訓練を行った後、在宅復帰されています。股関節の他、膝関節の治療も行っております。

 骨盤損傷には、恥骨や仙骨の骨折等があります。リハビリの他、骨粗鬆症が検査で見つかった場合、
内服・注射等の骨粗鬆症の治療も行います。

 脊柱管狭窄症は、長い年月の間体を支えていた脊柱管が変形し、中を通っている神経が圧迫される状態のことをいいます。
腰部脊柱管狭窄症では下肢の痛みやしびれ、麻痺などが発生します。投薬やリハビリによる治療の他、
当院では手術によって神経の圧迫を取り除く治療も行っております。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)-手術なし-脳保護薬投与あり-副病なし-発症前Rankin Scale 0、1又は2 21 20.48 15.70 33.33% 73.71
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤-手術なし-脳血管造影検査あり 15 3.00 2.95 0.00% 73.87
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-その他の手術あり-処置なし-副病なし 14 18.00 9.88 14.29% 85.43
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-手術なし-処置なし-副病なし 13 14.15 8.38 23.08% 65.00
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)-手術なし-処置なし-副病なし 11 17.55 19.09 54.55% 73.09
<脳梗塞について>
 1入院中に複数の疾患の治療も行った症例を含めますと、昨年度当院で治療を行った脳梗塞の患者は97名になります。
DPCでは治療内容等で細かく分類されるため、実際の患者数より少なくなっています。

<脳動脈瘤について>
 脳動脈の一部がこぶのようになった状態で、破裂するとくも膜下出血や脳出血になるリスクがあります。
無症状のことが多いですが、破裂の危険性が高い場合は治療が必要になります。治療が必要かどうか、脳血管造影検査で調べます。

<頭部外傷について>
 頭部外傷は、救急診療の現場において高い頻度で遭遇する疾患です。頭蓋内損傷の程度により、内科的治療(薬物治療)のみで
治療する場合もありますが、必要であれば緊急で開頭血腫除去術や慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術等の外科的治療を行います。
当院では特に高齢患者様の受診割合が高く、そのため同疾患の治療頻度が高いと考えられます。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患-手術あり-片眼 119 2.02 2.54 0.00% 75.96
020250xx97xxxx 結膜の障害-手術あり - - 3.00 - -
020280xx99xxxx 角膜の障害-手術なし - - 15.11 - -
 眼科では殆どが手術目的の入院となっています。当院では殆どが白内障です。
平均年齢は75歳ですが、若い方は50代、上は90代の方もおられます。
手術を受けられる意志がはっきりとあり、仰臥位を一定時間保てるようであれば、局所麻酔で手術することが可能です。
眼底などに疾患がなければ、視機能の回復が期待できます。
両眼の手術を受けられる場合、片眼の手術後に一旦退院し、1週間から2週間後に再度入院して
反対眼の手術を受けることが多くなっています。

症例は多くはありませんが、高齢の方に多い翼状片の手術の他、角膜潰瘍等の内科的治療も行っております。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術-処置なし-副病なし 58 12.88 6.85 1.72% 79.21
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍-手術なし-前立腺針生検法あり 54 2.20 2.44 0.00% 73.59
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし 52 15.94 13.52 3.85% 80.58
110310xx01xxxx 腎臓又は尿路の感染症-経尿道的尿管ステント留置術 23 15.00 13.46 4.35% 80.87
110080xx9903xx 前立腺の悪性腫瘍-手術なし-抗癌剤投与あり 22 16.00 11.64 0.00% 71.36
 泌尿器科では癌の検査・治療を行っています。膀胱癌は、内視鏡を用いて癌を切除する経尿道的膀胱腫瘍切除術や膀胱全摘除術、
化学療法を行っています。

 前立腺癌が疑われた場合は、1泊2日で麻酔下に針生検を行っています。
前立腺癌と診断した場合、手術による前立腺摘出術や内分泌療法、化学療法を行っています。

 有熱性の尿路感染症で入院された方も多く、抗菌薬の投与を行います。尿管狭窄等が尿路感染症の原因となっている場合は、
手術で尿流を確保します。
 
 この他、尿路結石症に対して、主に体外衝撃波結石粉砕術の治療を行っています。本治療は外来でも行っていますが、
安全のため、入院加療をお勧めしています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 107 2.22 2.61 0.00% 70.36
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎-限局性腹腔膿瘍手術・内視鏡的胆道結石除去術等-処置なし-副病なし 37 8.76 8.75 2.70% 75.76
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞-手術なし-処置なし-副病なし 13 8.77 8.95 0.00% 74.38
060130xx9900xx 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患)-手術なし-処置なし 12 8.50 7.63 8.33% 67.25
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍-内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 11 8.55 7.61 0.00% 77.09
 2020年4月より消化器内科が再開となり、それまで外科で診療を行っていた大腸ポリープの治療を当科で行っております。
治療後の経過観察が必要なため、1泊2日の入院にて切除とさせていただいております。

 胆管炎や胆のう炎は、胆のうで作られた胆汁が、結石や胆管の狭窄などでうっ滞し、そこに細菌感染が加わって炎症が起こると
発症します。抗生剤等で良くなる症例もありますが、結石の除去や狭窄部位の切開等、必要に応じて内視鏡による治療を行います。

 腸閉塞(イレウス)の治療では、絶食・点滴による腸管安静や、胃管やイレウス管を挿入し、
腸に溜まった空気や胃液の吸引を行います。手術が必要な場合は、外科と連携して治療を行います。

 早期に発見された胃癌は、内視鏡での治療が可能です。胃癌が大きくなると開腹手術による胃の切除が必要になりますが、
進行前に発見できれば、腫瘍部分だけを内視鏡で切除できます。

  当科では吐血、下血による急患を積極的に受け入れています。内視鏡検査を行い、胃十二指腸潰瘍等の出血が見つかった場合は、
そのまま止血治療を行います。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 12 - - 14 - - 1 8
大腸癌 - 13 46 51 - 34 2 9
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 - - - - - - 1 8
肝癌 - - - - - - 2 6
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 5大癌とは、発症症例数が多いとされる胃癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、乳癌の事をいいます。UICC(国際対がん連合)が定めた
腫瘍の病期分類があり、T(原発腫瘍の拡がり)、N(所属リンパ節転移の有無と拡がり)、M(遠隔転移の有無)を評価し、
それを指標に癌の進行度と拡がりの程度を、一度に表すことが出来るように作られたのがStage分類です。
 この指標では、当院が入院治療を行った5大癌のStage分類毎の患者数を示しており、退院した実患者数となっています。
そのため、一人の患者さんが複数回入院して治療を行った場合も、1例としてカウントされています。
 当院外科では、早期癌(StageⅠ)の患者さんも居られますが、進行癌の患者さんの割合が多い傾向になっています。
再発した癌では、抗がん剤治療を患者さんの状態に合わせて、外来・入院の両方で行っております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 57 19.77 84.28
重症 11 22.46 86.18
超重症 - - -
不明 - - -
 成人市中肺炎は、成人の肺炎から誤嚥性肺炎と院内感染による肺炎を除いたものです。
年齢、血液中の酸素濃度、意識障害、血液検査での炎症反応の値等を基に、重症度が分類されます。
 中等症、重症、超重症ではいずれも平均年齢が80歳を超えております。
高齢の方が肺炎を発症すると重症化しやすく、治療期間も長くなります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 70 25.41 77.43 31.82%
その他 18 16.89 78.28 3.41%
〈脳梗塞について〉
 脳梗塞とは何らかの原因で脳血管が閉塞して脳に血液を送ることができなくなり、麻痺や言語障害等が起こってしまう疾患です。
脳血管障害(いわゆる脳卒中)の大半を占め、脳神経外科の救急疾患として最も頻度の高い疾患の一つであり、
早期の診断と治療が必要です。
 脳梗塞は、発症から4.5時間以内であればtPA(アルテプラーゼ)という血栓を溶かす薬が投与可能です。
効果があれば、症状は改善します。しかし、太い血管が閉塞した場合、tPAのみでは血栓を溶かせないことが多いです。
そのような場合、血管内治療で血栓を直接回収する方法があります。血栓が回収できれば、状態は劇的に改善します。
当院ではすぐにMRIにて評価を行い、tPA投与、血栓回収術まで可能な限り行っています。
また早期よりリハビリ訓練を開始することで、少しでも状態をよくできるよう取り組んでいます。
 集計条件により患者数が合計で88名となっておりますが、複数の疾患の治療を行った入院も含めると、実際の患者数は97名です。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 32 1.13 4.69 0.00% 74.56
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 26 1.15 4.00 0.00% 75.69
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 18 3.78 16.06 0.00% 85.72
K597-2 ペースメーカー交換術 16 0.94 8.69 12.50% 86.50
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 10 1.50 3.10 10.00% 72.40
 経皮的カテーテル心筋焼灼術は、頻脈性不整脈に対するカテーテル治療です。電極のついた、カテーテルと呼ばれる細い管を
心臓内に挿入し、不整脈の原因となっている心筋組織や伝導路を焼灼します。
 
 虚血性心疾患(狭心症、無症候性心筋虚血、心筋梗塞など)に対しては、ステント留置術というカテーテルを用いる治療を行っています。
主に手首の血管からカテーテルを挿入し、心臓の血管を造影し、風船(バルーン)やステントと呼ばれる金属の管を用いて治療を行います。 
 カテーテル治療においては、足の付け根や肘から管を挿入することもありますが、主に手首から挿入することにより、
患者さんの負担の少ない治療を心がけています。

 ペースメーカー移植術は徐脈性不整脈に対する治療です。脈が遅いために気を失ったり、ふらついたり、
心不全になったりする患者さんの脈を、ペースメーカーで正常な速さの脈に調整します。
 ペースメーカーは電池で動いているので、交換が必要になります。
他院に入院中の患者さんが、当院で移植・交換を行った後、元の病院に転院する場合もあります。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 22 0.23 1.18 0.00% 76.64
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 21 6.43 23.10 0.00% 76.43
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 18 1.72 5.28 0.00% 75.28
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 18 4.22 7.72 0.00% 65.56
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 10 0.00 5.70 0.00% 68.50
 当科では内視鏡検査、治療を消化器内科医と協力して行い、ポリープ切除後に外科又は消化器内科で入院となっております。

 当科では悪性疾患手術も積極的に行っています。大腸癌の手術では、腹腔鏡下結腸切除術の他、結腸悪性腫瘍手術、
直腸癌手術なども行っており、実際の件数はこれより多くなっています。

 化学療法も行っており、患者さんの負担を軽減するため、CVポートを皮下に埋め込み、そこから抗癌剤を投与する方法があります。
小さな外科手術で植え込みが可能です。

 鼠径ヘルニアの治療では、負担の少ない腹腔鏡下手術を行っております。腹壁瘢痕ヘルニアと同時に手術を行う場合もあります。

 腹腔鏡下胆嚢摘出術の多くは、急性胆のう炎や急性胆のう炎後の患者さんです。種々の術前合併症を持っておられる患者さんが多く、
術後在院日数が少し長い傾向となっています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(股・膝) 50 3.54 43.02 4.00% 74.72
K0461 骨折観血的手術(大腿・上腕) 44 1.77 57.07 13.64% 83.89
K0462 骨折観血的手術(前腕・下腿) 22 5.55 34.82 9.09% 76.27
K0811 人工骨頭挿入術(股) - - - - -
K0463 骨折観血的手術(膝蓋骨) etc. - - - - -
 整形外科の手術で1番多くを占めるのは、股関節や膝関節などの関節変形に対する、人工関節置換術です。
変形した関節を人工関節に置き換えることで、関節変形による痛みを和らげ、関節の動きを改善します。
当院では特に股関節の手術が多くなっております。

 次に多いのは骨折に対する骨接合手術で、大腿骨や前腕骨の手術が多くなっております。骨折の状況に応じて、スクリュー、髄内釘、
プレート等を用いて手術を行っています。手術後十分なリハビリ、機能訓練を行った後、自宅または施設に復帰されています。

 人工骨頭挿入術は、大腿骨頚部骨折で行う手術です。大腿骨頸部骨折では、転位が大きい場合など
骨癒合が得られにくいことがあります。その場合に折れた骨頭と人工骨頭を置き換える手術を行います。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 117 0.02 1.00 0.00% 76.06
K224 翼状片手術(弁の移植を要する) - - - - -
K274 前房、虹彩内異物除去術 - - - - -
 眼科では白内障に対する水晶体再建術が殆どを占めていて、片眼につき1泊2日または2泊3日の入院で治療します。
初診から1か月程度で検査、手術説明を経て手術という運びとなります。
白内障手術は超音波で濁って固くなった水晶体を柔らかくして吸引、残した水晶体嚢にそれぞれの方に合った眼内レンズを挿入する
という手術です。痛みが少なく、術後視機能の回復も早い手術です。
患者数117名となっておりますが、別病棟に入院した件数が集計から外されています。実際の患者数は260名です。

 翼状片は角膜の鼻側縁部に結膜組織が三角形に侵入した状態です。侵入部分を切除し、
再発を防ぐため切除で露出した部分を弁で覆います。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 60 4.95 8.40 1.67% 79.68
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 30 3.60 7.07 3.33% 79.57
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 24 1.71 2.42 0.00% 62.67
K8412 経尿道的前立腺手術(その他) 20 6.05 12.45 0.00% 76.75
K7812 経尿道的尿路結石除去術(その他) 13 13.77 5.46 7.69% 76.31
 泌尿器科の手術で最も多いのは、膀胱癌に対する膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)です。
内視鏡を尿道から膀胱に入れて、癌を切除します。この他、膀胱癌では膀胱全摘出手術、尿路変更術や
抗がん化学療法なども行っています。

 次に多い手術は、尿管狭窄に対する経尿道的尿管ステント留置術です。狭くなった尿管にステントを留置して尿流の確保や、
腎機能の温存を行います。

 当院泌尿器科では尿路結石に対する体外衝撃波結石粉砕術を行っています。
この手術を実施している病院は少なく、門司区では当院しかありません。そのため、多くの患者さんを他院より紹介頂いています。
本治療以外にも、経尿道的尿路結石除去術や経皮的腎砕石術などの内視鏡手術、開腹手術も行っています。

 経尿道的前立腺手術は、肥大した前立腺を切除する手術です。前立腺肥大症の治療には薬物療法もありますが、
尿閉や膀胱結石等の合併症を発症した場合は手術による治療が必要になります。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 98 0.03 1.03 0.00% 70.09
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 34 1.32 9.88 2.94% 79.12
K6872 内視鏡的乳頭切開術(胆道砕石術を伴う) 16 1.00 7.00 0.00% 80.31
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 10 1.00 7.10 0.00% 75.80
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 10 0.40 9.60 0.00% 77.50
 当科では内視鏡検査、治療を行っております。大腸ポリープや胃腺腫、悪性腫瘍等の切除後、入院による経過観察を行います。
特に悪性腫瘍の場合、深くまで切除するため、出血が無いか再度内視鏡検査で確認します。

 胆管炎や総胆管結石の治療では、狭窄した胆管の切開や、胆管を塞ぐ結石の除去を内視鏡を用いて行います。
治療後に再度狭窄が起きると、胆管炎や胆のう炎を再発してしまうことがありますが、
狭窄部位にステント留置を行うと、後の治療回数を減らし、患者さんの負担を軽減できます。

 この他、肝胆膵領域の悪性腫瘍の診断、治療も行っております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 14 0.49%
異なる - -
 当院の昨年度のDIC、敗血症、真菌症、手術・処置等の合併症の発生率は全て1%未満でした。
手術・処置等の合併症に含まれているのは、人工股関節脱臼、人工股関節のゆるみ、透析シャント閉塞等です。
入院中に起きたものではなく、入院前に問題が見つかり、治療のために当院に入院となった症例がほとんどです。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
206 196 95.15%
 手術を行うとき、患者さんは手術台の上でじっとした状態になります。これは車中や飛行機に長時間座っているのと同じ状態です。
下腿の静脈の血流が滞り、血栓が生じるリスクがあります。「肺血栓塞栓症」は下腿で生じた血栓が流れて、肺の動脈を塞いでしまうことで
発症します。肺動脈が塞がれると呼吸による酸素と二酸化炭素のガス交換が上手くできず、命にかかわります。
 血栓のリスクがある手術を行った症例の、当院の肺血栓塞栓症の予防対策実施率は95%です。
必要な患者さん全員のリスク評価と予防対策を実施できるよう努めております。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
492 143 29.07%
 健康な人でも皮膚や口内には菌がいますが、血液の中は無菌状態です。いないはずの菌が血中から見つかった場合、
感染症の原因菌である可能性が非常に高いです。1セットでも検査はできますが、右腕と左腕といった別々の場所から
2セット分採血すると、病原菌を特定できる可能性がさらに高くなります。
感染症に気を付けなければならない患者さんの場合、2セット実施が必要になります。
昨年度は血液内科が閉鎖に向けて縮小中であり、その影響もあって当院の血液培養2セット実施率は約30%となっております。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
352 248 70.45%
 広域スペクトル抗菌薬とは、幅広い種類の細菌に効果のある抗菌薬のことです。
この抗菌薬の使用が過剰になると、薬剤耐性菌の増加に繋がってしまいます。
そのため、細菌培養同定検査で病原菌を特定し、別の抗菌薬に変更するなどして、
広域スペクトル抗菌薬の使用を適正な範囲に収めることが推奨されています。
当院の広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率は、70%でおおよそ全国平均と一致しております。
更新履歴
2024.10.1
令和5年度門司メディカルセンター病院指標公開